早期退職金はもらえるうちにもらっておけ



2019年6月24日、損害保険ジャパン日本興亜は2020年度末までに国内損保事業の従業員数を4000人削減することを公表した。ただし、その削減方法は新卒採用の絞り込みと介護など成長産業への配置転換である。つまり、損害保険ジャパン日本興亜は早期退職金などの費用を充てずに社員の絞り込みを実施するのである。これはすごい。

なぜなら、損害保険ジャパン日本興亜は特別損失金である早期退職金を計上せずに社員にリストラを可能にしているからである。2015年10月、損害保険ジャパン日本興亜は居酒屋大手ワタミの介護子会社の全株式を210億円で買い取る買収することを公表した。当初、この買収は損保事業以外の新規事業参入への布石として考えられていた。

しかし、今振り返ればこれは戦略的な自主退職を斡旋する仕組みであったのだろう。なぜなら、介護子会社は損害保険ジャパン日本興亜の損保事業で働くお荷物社員の受け皿として機能するからである。このような受け皿がない場合、損害保険ジャパン日本興亜はお荷物社員に対して割増退職金を支払い早期退職を促すしかない。それに伴い、1人当たり1000~2000万円の特別損失金が計上される。



つまり、早期退職制度により4000人の社員を削減する場合は400~800億円の特別損失金が発生するのに対して、介護子会社へ出向させることで特別損失金を発生させずに社員を削減することができるのである。これはすごい。

なぜなら、損害保険ジャパン日本興亜のように長期的な戦略で社員数を削減できる体力のある企業は、早期退職により発生する費用以下で受け皿となる子会社を購入すればいいからである。例えば、損害保険ジャパン日本興亜のように早期退職により400~800億円の特別損失金を発生させるよりも介護子会社を210億円で買収するように。

この合法的かつ戦略的な早期退職金の払い渋り制度は、社員を大量に抱える大企業で今後流行るであろう。なので、早期退職金をもらえるうちにもらっておいた方が大企業は賢明である。特に、事業転換を図るために新規事業を既に買収しているような大企業で働いている場合はなおさらである。