オンコリスバイオファーマ(4588)の第2四半期決算短信に対する考察



2019年8月2日、オンコリスバイオファーマ(4588)は第2四半期決算短信をプレスリリースにて公表した。結果は、

売上高:6億2100万円(+586.6%)
営業利益:△2億7500万円(赤字幅3億8000万円縮小)
経常利益:△2億7100万円(赤字幅3億6800万円縮小)
純利益:△2億7300万円(赤字幅3億6800万円縮小)

売上高を約6倍にした要因は当然、2019年4月8日にプレスリリースにて公表した中外製薬との契約締結により発生した腫瘍溶解ウィルス「テロメライシン」の契約一時金である。この契約一時金は5.5億円であったため、この契約一時金を除いた売上高は7100万円。つまり、前年同期比でオンコリスバイオファーマ(4588)の売上高、利益ともに何も変わっておらず、既に株価には織り込まれている第2四半期決算短信の内容であったと言っても過言ではない。



しかしながら、第2四半期決算短信とは別にプレスリリースにて公表された適宜開示「がんのウイルス療法テロメライシン開発の戦略的な方針変更並びに資金使途変更に関するお知らせ 」は要注目である。なぜなら、新株予約権により調達した資金の用途であった悪性黒色腫(メラノーマ)に対するテロメライシンの有効性を検証する目的で開始していた第II相試験を戦略的に終了させることを公表したからである。

普通、臨床試験を終了させることはバイオベンチャーにとって非常にネガティブな材料である。しかし、抗PD-L1抗体薬テセントリクを有する中外製薬と共同研究を締結しているオンコリスバイオファーマ(4588)にとってはポジティブである。

なぜなら、悪性黒色腫(メラノーマ)を対象にして臨床試験を開始する一番の目的は新薬の薬価算定を受ける時により高額な値付けを得ることが狙いであるが、昨今の特別措置による新薬の値下げ制度を見る限り、そのような努力は無に帰す可能性が高いからである。



例えば、オプジーボの当初の薬価は患者1人当たり年間3000万であったが、現在はその4分の1以下である。原則として、薬価改定は2年に1回の頻度で実施であったが、オプジーボのように年間売上高数百億円以上の薬は例外扱いとなり、毎年薬価の見直しが実施される。

つまり、悪性黒色腫(メラノーマ)のように他の癌種に比べて患者数の少ない疾患に基づいて薬価算出をすることで一時的に薬価を釣り上げることは可能でも、その期間はわずか1年程度であり、その程度の期間の売上を得る見返りとして悪性黒色腫(メラノーマ)のような希少疾患の適応を得るための臨床試験を実施するのは余計に高くつく可能性があるのだ。以上の理由より、オンコリスバイオファーマ(4588)が悪性黒色腫(メラノーマ)に対するテロメライシンの有効性を検証する第II相試験を戦略的に終了させたことは個人的に評価している。